「じゃあ、どうしろっていうの?」

ビーチで遊ぼうとしたが完全に阻まれてしまった少女 - GIGAZINEより。

テキスト

 青い海原があると知って女の子は準備万端でやってきたんだ。あたしはビーチを楽しむ最高の方法を知っているのよとばかりに準備万端だったんだ。女の子と同じく華奢な犬にビーチを楽しむ最高のやり方を教えてあげる気でいたんだ。その先に広がる海と同じにうねった文様を描き出す白い砂浜にやってきたときの颯爽とした姿を見れば一目瞭然なんだよ。そこで女の子を待っていたのがあの看板さ。赤いペンキで強調された二文字はまだ学校へ行っていない子供にだって読めただろうよ、NO、いけ好かない禁止の記号が三つ揃って女の子の前に立ちふさがってた。きっと上から順に一つ一つ吟味するように読んでいったんだろうな。「NO DOGS(犬、ダメ)」ふうん、あたしのワンちゃんを連れ込んじゃいけないっていうんだ、「NO BICYCLES(自転車、ダメ)」へえ、パパがあたしの手足にぴったり合わせてくれたバイシクルを持ち込んじゃいけないっていうのね、「NO SWIMMING(泳ぐのダメ)」なんてことかしら、海なのに泳いじゃいけないだなんて、なんのための海なのかしら。じゃあ、あたしにどうしろっていうの? 女の子は信じられないって感じで肩をすくめる要領で首をかしげてた。あんなに否定されちゃ、脇に抱え自転車に積み込んでいたタオルケットもついでにお断りをくったも同然だったろうね。空はこんなに青いのに、風はこんなに温かいのに、太陽はこんなに眩しいのに、女の子はとてもがっかりしていたよ、本当さ!

コメント

 一次元化というのは風景を描写することではないんだ、そこに脈打つ情緒を模写するんだ、それを眼前にした不可視の誰かの感動を伝える、そういうテクストなんだ。
 と、過去の一次元化を振り返ってみて思ったのだが、さしあたって今回は情緒単体ではなく物語性を取り出してみたくて分かりやすい画像を選んだ。というか、不意に書きたくなったんだ、そういうことだ。