ONE PIECE 63巻――力関係

本エントリの副題は「アーロンの正当な賞金額は? 2」
 

アーロン

 このブログには「クロコダイル」「ゲッコー・モリア」「覇気」をググって訪れる方が多いのだが、ある時期から「アーロン 強さ」でググって来る人が出てきた。大方、本誌*1の方で魚人島に到達し、アーロンの話が出てきたのだろうと予想していたが、63巻を読めば、案の定だった。
 なるほど、確かに、今となってはイーストブルーに登場したアーロンの強さは不可解だ。タイヨウの海賊団の一員としてグランドラインで暴れ回っていたのなら、かなりの実力者となり、ギア技を思いついていない当時のルフィに敗北を喫したのは引っかかる。いや、それ自体は後に四億もの賞金首となるルフィの潜在能力が凄かったのだといって済ませられるが、アーロンに設定された賞金額は低過ぎやしないか、とは思ってしまう。

 過去のエントリでもアーロンの正当な賞金額について考察したことはあったが、当時は情報が少なかったので、ベラミー以上の6000万ベリーが妥当か、ぐらいに考えていた。
 
ワンピの敵役賛美――アーロンの正当な賞金額は? - 備忘録の集積
 
 グランドラインで暴れ回った海賊ならば、賞金額は容易くインフレを起こす傾向にある*2。6000万ベリーというのは今考えても妥当ではないだろうか。
 まず海賊団というからには一つの組織であり、海軍としてはまず頭を潰すことこそ、その海賊団の壊滅に繋がるとして、船長に最も高い金額を設定する。
 タイヨウの海賊団の船長はタイガーだ。これがジンベエに代わる頃には、アーロンは海軍に捕まってしまっていたので(相手が後の黄猿じゃしょうがない)、賞金額の順序としては三番手。
 麦わら海賊団では、一番手がルフィ、二番手がゾロ、三番手がサンジと認識されている(海軍がそう認識してるのだから仕方がない)。現状ではルフィの四億が飛び抜けすぎているので比較対象としては不適切、ひとまず置いておくとして、過去に遡って賞金額の比率を見てみよう。
 
・ルフィ 3億
・ゾロ 1億2000万
・サンジ 7700万
 
 これは三番手のサンジがはじめて賞金首となったときの金額。ルフィ、ゾロは先んじて賞金首となっていた。この現象はタイヨウの海賊団でも見られ、タイガーとジンベエが賞金首となったとき、アーロンにはまだ賞金がかかっておらず、かの鮫の魚人は、人間共の目は節穴か、と悪態をついている。
 
・タイガー 2億3000万
・ジンベエ 7600万
・アーロン なし
 
 では、いつアーロンが賞金首になるかと思えば、そのような描写はない。これは省略したのではなく、アーロンは実際に賞金首にならなかったのだろう。一方、ジンベエはタイガー亡き後、タイヨウの海賊団の船長となって、賞金額は2億5000万ベリーに。
 仕方がないのでタイガーが健在の頃の賞金額と比較することにしよう。
 ルフィの3億に対してサンジが7700万だから、一番手に比する三番手の金額はざっと 1/3.9 となる。
 となると、一番手タイガーの2億3000万を3.9で割って、約5900万。ここから、アーロンはグランドラインで賞金を設定されていたならば6000万ベリー前後が妥当と考えられる。
 ジンベエが七武海に加盟し、恩赦として釈放されたアーロンはイーストブルーで賞金首となったため、グランドラインの海賊とは違った尺度で賞金額を設定された。当時のイーストブルー最高額なのだから文句を言っちゃいけない。
 ちなみに、仮にアーロンがグランドラインで賞金首となっていたとしても、一度捕まったのなら賞金首ではなくなる(賞金を支払ってお終いだから。捕まえたのが海軍なので賞金は出ていないだろう)。第一、恩赦で解放された元海賊に賞金がついたままなら、それは「解放した」とはとてもいえないし。
 あとは、当時のルフィの実力が賞金額相当のものと見なすとして、なぜ6000万ベリー相当のアーロンに勝てたのか、というところだが、これはもちろん陸戦だったから、の一言で十分だろう。アーロンがグランドラインのど真ん中で、海戦で、勝つことだけに拘って戦ったとすれば、そりゃ手に負えるわけがない。
 

ホーディ

 アーロンの問題は片づいたが、その自称後継者であるホーディはどれほど強いのだろう。強くてもおかしいが、弱ければお話にならない……。
 そんな難問もES(エネルギー・ステロイド)なるドーピングアイテムで解決☆
 ……にしても水中戦でゾロに負けるとは、ホーディよ……いや、ゾロが強すぎるのだ。
 

バンダー・デッケン九世

 フライング海賊団船長。マトマトの実の能力者。ネコザメの魚人。
 
 出たよ、魚人のくせに悪魔の実を食ったらしきバカが。いつかでてくるに違いないと思っていたが。ぼくはこんなバカが大好きです。
 実力が倍あったなら「敵役賛美」としてエントリ一本立ち上げたのだが、今のところ、さすがに貧弱すぎる。
 結婚式の招待状を書こうとして友達がいないことに気づくとか、愛すべきバカなんだけど。残念。
 

ヒョウゾウ

 ぼくがワンピースを集め始めた頃は、まだルフィがアーロンと戦いはじめたばかりの頃だった*3。一冊を何度も何度もしつこく読んだものだ。だから当然、ハチの発言を覚えている。タコの魚人の彼はゾロに向けて言った。
 
《おれ様を魚人島で一人除けばNo.1の剣豪“六刀流のハチ”と知っているのかァ!!!》
 
 なにか分かりにくい日本語だが、どうやらハチは魚人島でNo.2の剣豪であり、No.1は他にいるらしい。じゃあ、No.1はどんなやつなんだ!? と、どれほど期待したか。それと同時に、どれほど心配したか。
 ゾロはアラバスタ編でダスと死闘を繰り広げたことで、剣士としての格を上げた。ハチ以上の剣豪がでてきたところで、このゾロに一体どう太刀打ちできるというのだろう。というか、ゾロに一太刀も浴びせることが出来なかったハチは、本当に魚人島No.2の剣豪なのか……?
 
 気を揉んでいた日々が懐かしい。長い年月を経て、No.1らしき剣士が登場した。(まだ確証はない)
 それが、毒ヒョウモンダコの魚人、ヒョウゾウだ。
 4億ルフィのJETピストルを初見で見切り、防御して凌ぐその一瞬に毒を(毒針?)刺す力量は、なかなか期待させてくれる。
 
 しかしヒョウゾウと比べるとハチの見劣りすること。この力の差はなんなのさ。ハチは本当に魚人島でNo.2の剣豪なのか? 魚人島といえばネプチューン軍もいるし、そこの精鋭よりもハチの方が強いとしたら、魚人全体のレベルというものが……。
 しかし冷静に考えてみると、「魚人街」という名称が思い出されてくる。魚人街は魚人島周辺の無法地帯であり、ハチは魚人街の出身。となれば、ハチの自称No.2発言は魚人街でのNo.2というのが真相だと見なしても何ら違和感がない。(蛇足だが、そもそも魚人は剣術に興味がないのではないか。ハチにしても剣術というよりは力で押すだけだったし、武器はほかにいろいろあって、一番絵になるのは三叉矛だろうし……)
 というわけで、この十年間の心配には意味はなかったのだった。
 
 
 
 赤狗にあしらわれて株が暴落中の元七武海、ジンベエの魅力についても、ねっとりと語りたかったが、敵じゃないので今回は割愛する。
 
 おしまい。
 

*1:週刊少年ジャンプ

*2:グランドラインの海賊と言うだけでイーストブルーの倍の賞金額がつく実感がある。

*3:ショック! あの頃のぼくはティーンだったのか!