頽廃する夢


 だだっ広い草原に一軒の家を持ちたい。訪れるものは風だけの寂しい場所で惚けて死にたい。遠くでぽつり、ぽつりと立っている木は書割なのか、歩み寄って確かめる意欲すら乏しい死んだ心で空を見上げる。神話に曰く巨人の脳が雲となった。神話の語り手を笑うことはできない。このような白い塊が尋常の理で浮いていようはずもない。触れて確かめることも能わず、詩的な響きだけが正体を射抜く霊的な力を持つ。空もまた、書割なのだ、天井の覆いは巨人の頭蓋骨であるとする神話にとっては。