妹観察記:子供の笑いの感性

前置き(本筋とは無関係の日記)

 今日は祭があって、通りに人が溢れていました。自転車で買い物に出かけたのは正解でした。自動車だったなら気の短い私は我慢ならなかったでしょう。はっきりいって祭は嫌いです。
 エバ・グリーンには泣き叫んでいる子供がいました。祭が終わって、拗ねていたようです。寝起きの私は、うるさいな、と思いました。注射を直前に控えた子供が泣き叫んでいてもうるさく感じないのですが、こういうだだには、やれやれと思わされます。しかし、私が親になったとき、どう叱ってやるのがいいだろうと考え始めると負の感情も余所へいってしまいました。

 今や中学生になってしまいましたが、昔はちっこかったのです(当たり前だ)。肩車をしてやるとお漏らししたこともありました。私はヨダレだと思ったのですがお漏らしでした。そのときの妹はやけに静かで、今思い返すと、その静けさが妙にツボです。漏らして気持ちが良かったのでしょうか、それとも罪悪感で黙ったのでしょうか。


 そんな妹もお漏らしを卒業いたしまして、すくすく育っていきました。小学生の3,4年生の頃、漫画や母の口から「うんこ」とか「おしっこ」とか見聞きするとくすぐったそうに身体をひねって笑っていたものです。私はそのころから子供の笑いのツボがどこにあるのかを観察する癖を持つようになりました。
 今回は妹がテレビを見ていて笑ったシーンをとりあげたいと思います。

バック・トゥ・ザ・ヒューチャー

 ここ数日、BTF関連の記事が賑わっています。某ブログでは主人公が『ジョニー・B・グッド』を演奏するシーンについて解説がなされていました。私も同じシーンを引用します*1

 ここでは主人公が過激な演奏に没頭するため周囲にドン引きされます。その過激な演奏が妹を見えない手でくすぐったのでした。私はそこで妹が笑い出すと予想していなかったので、むしろ妹の笑い方に笑いました。
 寝転がったまま演奏するところが特にウケていました。

ホームアローン

 私がはじめて見たホームアローンは2でした。まだ中学生だったので、この世にこれほど破壊力のある映画があったことに震撼しました。今でも2が大好きです。それはやはり、コメディさえ飾り付けに思われるラストの家族愛が深い余韻をもたらすからです。それでも、妹に見せるなら3が一番だと思いました。私ははじめから、妹がどこで笑うのか注意しながら3のビデオを流しました*2
 妹は多くのシーンで笑いましたが、それは普通の笑い方でした。私が求めていた身をよじって笑うやり方は見られませんでした(小さな規模であれば頻出したのですが)。男の股間を強打するシーンで例の笑い方が見られるかもしれないと期待していたのですが、これは外れました。
 それよりも終盤、最後の一人となった悪役のボスが主人公の少年を追いつめるとき異国の言葉を放ったのですが、ここで妹が予想外に恐れを抱いたことが印象的でした。その言葉は吹き替えされていなかったのでインパクトもひとしおだったのでしょう、隣にいた私の腕を思わず掴んだほどでした。カミナリ親父が飛ばす怒号のような衝撃に悪魔的なニュアンスが加わった、そんなものを感じたのでしょう。
 まさか3で妹が恐怖を感じるシーンが一つでもあるとは思っていなかったので新鮮でした。
 一番ウケていたのは電気で痺れるシーンのようでした。

ギャグマンガ日和

 これを見たときには、妹はもう小学生の高学年になっていたかもしれません。しかし笑いの感性はまだまだ子供だと確信させてくれる一件となりました。
 ギャグマンガなので面白くて当然なのですが、妹はニヤニヤしても声に出して笑わなくなっていました。照れがあったのでしょうか。はじめに見せたのは『終末』という話で、このときは全然笑い声が聞けなかったのでウケなかったのかと思っていましたが、あとで弟*3と一緒にしつこく視聴していたことが分かり、抜群にウケていたという実態が明らかになりました。
 しかし「抜群にウケていた」という表現はこの時点でするべきではありませんでした。「抜群」は『名探偵ッスか! うさみちゃん』のためにとっておくべき言葉でした。
 これは同じくギャグマンガ日和の話の一つで、大人の感性としてはクマ吉くんの変態ぶりが最たるツボになるところです。「僕は変態じゃないよ、仮に変態だとしても変態という名の紳士だよ」という名言を残しています。「こんなことでいちいち警察呼ばれてたら僕もうトイレとか家でしかパンツ脱げないじゃないか」も秀逸です。

 私は当然、妹も同じところで笑うものと想像していました。ところが妹はそれよりもずっと早いシーンで身をよじって転げたのでした。ウサミちゃんが推理するときの癖で目つきが鋭くなる絵が出てくるやいなや半狂乱になって笑ったのです。
 ああ、そうか、いわゆる変顔がウケるのか、と私はほとほと感心した次第です。

短いまとめ

 気の利いた言い回しや単純な洒落、大袈裟なツッコミや予想外の仕掛けより、子供というのは下品なギャグを好む傾向にあります。
 全裸などは一発KOの破壊力があるようです。
 しかしただ下品だから笑ってしまう、というわけでもなさそうです。現実からの逸脱が何よりも重要――すくなくとも下品なネタよりも確実に破壊力がある、というのが私の結論です。


 それにしても、現実からの逸脱が、なぜそんなに面白いのでしょう? いえ大人でも面白いですけど*4、そうではなく、子供なのになぜ、と思うんです。子供にも現実なんてものがあるのだな、という点で興味深く思います。

*1:いやはや、このシーンを半年前に探したのですが見つからなくて一時は諦めたのですが、こうして巡りあえて助かりました。

*2:当時はDVDなんてなかったかもしれない……?

*3:妹は末っ子なので、妹からすれば兄貴であるところの私の弟。

*4:私が引用したクマ吉くんの台詞を気に入っているのも、そのブレが絶妙であるからですし。