鉄拳チンミLegends、ハクシンと迫真のバトルの行方
タイトルが駄洒落になってしもたやないかい。前川先生の名付け方は安易なことが多いから……。
実力伯仲の通背拳勝負も佳境というところで幕を引いた前巻は高いテンションのまま終わったわけですが、さて今回の七巻は?――と、その前に嘘つきましたね、実力伯仲てね、違いますよね、チンミはいつものごとく体力を消耗して万全ではないところから戦っているんですからね。
チンミは実践の最中の呼吸で機転を利かし変則の通背拳をハクシンに浴びせ決着と相成りました。申し分ない名勝負でした。この新しい打ち方では、下半身から上半身へ螺旋状に伝わる力の出し方に難ありのような気もしますが、そんなこと、もう全然オッケーですから。
それにしても通背拳て、なんでこんなに気持ちの良いというか、胸のすく技なんでしょうか。格闘漫画の必殺技としてかなり上位に食い込んでいます*1。漢字三文字の歯切れの良さ、つまり名前の音の魅力が一役買ってますね。三コマに分割して唱えるところも爽快。踏み込みと爆発的威力もまた魅力がある。
そして、十人衆最後の一人、ガンテイの登場です。――て、もう最後の一人だったんですね。いつの間にそんないなくなったんだ、と思ったら連携しての襲撃が多かったので一度窮地を切り抜けるたびに撃墜数が伸びていたようで。
ガンテイの強さの描写がよくてハクシンのときと同様、期待させられたのですが、彼の武器の黒翼剪剣は無茶すぎるような……。誤って自分の腕を切り落としてしまいそうで、とても使い勝手が悪く思えます。実在する武器ではないのでしょう。
鉄拳チンミといえば様々な武器が出てくるし、チンミも棍を扱えるので素手に拘りすぎたりしない格闘漫画という価値を持っている。十人衆も武器を用いるものが多かったし、中でも流星錘はこの漫画特有の「一つの武器を様々に応用して使いこなしてみせる」描写がなされていた。展覧武道会でシバが使っていた護手双鉤も架空の武器なのだろうが実に多彩な技が用意されていて、実際にああいう武器とそれにまつわる技術体系があるのではないかと思わされた。今回の黒翼剪剣は、さて、どうなるだろう? 若干の不安はあるものの、武器を描く面白味に(私の中で)定評のある前川先生だから期待してもいいのかな……?