キングクリムゾンの能力

 ジョジョの第五部がアニメ化されて、その出来映えもなかなか、ボスも登場してテンションだだ上がり中。そのテンションに乗じて、ボスの能力について説明しようと思った次第。



 本記事を読むに当たっての注意事項
・本記事では、筆者がキングクリムゾンの能力をどのように捉えているか語る。
ジョジョだから作中で細かい矛盾があるので、そんな詰めて考えない。
・考察にこじつけや過剰な拡大解釈が入り交じるのはご愛敬。
・本記事では、キングクリムゾンの使い手であるディアボロのことをボスと記述する。



 まず、キングクリムゾンの能力が以下の三つのルールに沿っているものとする。
[1]数秒先の未来が見ることができる
[2]現在(A地点)と未来(B地点)の間をデリートし、両者を繋ぎ合わせることができる
[3]デリートされるAB間において、ボスは現実(R)とはすこしズレた別の世界線(R')に身を置くこととする


 [1]についてだが、これはいうまでもなくエピタフの能力のことである。
エピタフが見せる未来のヴィジョンは、いつでも見ることができる。常時見続けることもできるが、どこまで持続できるかは集中力の問題である、とする。常時カーナビを見ながら運転するドライバーはいないように、要所で見るものであろう。マルチタスクの才能が問われる。

 [2]はキングクリムゾンの能力のことである。
AB間はデリートされる。動画の編集と同じで、デリートされた直後はB地点の映像からスタートする。

 [3]はAB間においてボスは他者を攻撃できないというルールを説明しやすくする(ために筆者が勝手に考えた)取り決めである。
 ボスが現実世界Rとは別の世界にいると考えれば、RとR'において相互に不干渉であることが分かりやすいであろう。ただしR’からはRが「動きの軌跡」として認知可能である。
 Rで放たれた拳も弾丸もR'にいるボスには届かない。また、R'にいるボスの手刀もRにいるブチャラティには届かない。互いに互いを透き通る。ボスがリゾット戦でエアロスミスの弾丸を避けたことがこれで説明できる。
 であるなら、ボスは他者の攻撃を避ける必要はないわけだが、たびたび回避行動を行っている。これについても理由付けができる。そのためには「AB間がデリートされた終えたまさにその瞬間」について考えたい。
 まさにその瞬間、ボスが手刀を放ちブチャラティの胴体に食い込ませていたとしたならどうなるだろうか。R'にいたボスがRに戻ると、ボスの腕とブチャラティの胴体が同じ空間を占めていることとなる。ブチャラティは胴体にボスの腕が食い込んでいるため致命傷を負うだろうが、ボスもまた腕にブチャラティの胴体が重なって存在しているため、腕がもげ落ちるのではないだろうか(あるいはブチャラティの胴体と同化していて引き抜けなくなっているのではないか)。
 つまり、ボスにとって、「その瞬間」に他者と空間を共有していることはNGなのである。よって、近距離まで近付くことはあっても密着間合いといえるほど近くには寄らない(あくまで本人がそういうビビリな性格だから)と考えられる。そのリスク管理を徹底した結果、AB間においても他者と空間を共有しないよう気を配り、攻撃を避ける癖が付いたのではないか。

 R'なるものを想定する意義は他にもある。
キングクリムゾンの時消しが実際に時間をすっ飛ばすのであれば、全宇宙から時間を削り取ることとなり、何かスタンド能力を超越した大きなパワーを想定しなければならなくなる。
 しかしR'という少しズレた世界線に移動する能力だとすれば、ボス当人とその周辺にのみ作用する力となるため、そこまで壮大ではなくなる。
能力を使っている側であるボスだけが正しく時の流れを認識できているのだから、能力を使われている側の認識はいわば錯覚であり、時を消し飛ばすというよりは他者の認識に干渉する能力だと考えられる。(それでも能力を使われた側の率直な感想としては時を飛ばされたと表現するのは正しいし、ボス自身が時を飛ばす能力であると解釈することも表現として間違ってはいない)



 というわけで、このあたりで先のルールを改めてみよう。



【1】数秒先の未来が見ることができる
【2】任意のAB間において、ボスは現実(R)とはすこしズレた別の世界線(R')に身を置くことができる
【3】上記のAB間において、能力の射程内にいる者はボスが能力を使用しなかった際と同じように振る舞い、B地点に到達すると同時にAB間の記憶を抹消される


 [1]は変わらずそのまま【1】とした。
 [2]と[3]をひとつにまとめて【2】とした。
 【3】についてだが、ボスが能力を発動している最中、ボス以外の生物の記憶が消される、という意味である。つまり「時間を消し飛ばす能力」ではなく「記憶を消し飛ばす能力」であると考えると分かりやすい。この効果はキングクリムゾンによる作用と考えてもいいが、彼らの世界にもともと備わっている自然の法則と考えてみるのも面白い。(一部のSF作品でしばしば用いられる設定。キングクリムゾン発動中にボスはRの世界にいないため、存在しない者に関わった記憶もまた存在しないものとして抹消されるという理屈である。一方、ボスはR'の世界からRの世界を認識しているため、記憶を持ち越せる。……いや話を無駄に複雑にするだけかもしれないのでこの場限りの妄想にしておこう)
 納骨堂でボスが能力を発動したとき、傍にいなかったジョルノたちもキングクリムゾンの作用を受け「ただならぬことが起こっている」と感じていたが、これはジョルノがブチャラティと通信により繋がってボスの存在を認知していたため、射程内に含まれたものと解釈できる。



 ここでひとつ試しに、「ボスが椅子にワイヤーで雁字搦めに縛り付けられていて身動き取れない時に銃で撃たれる」というシチュエーションを考えてみることによう。
これまでの説明だとボスは能力を使用し弾丸をすり抜けることとなるが、弾丸をすり抜けられるならワイヤーの束縛もすり抜けられてよさそうに思える。ワイヤーをすり抜けられるなら、いっそ壁もすり抜けられてよさそうなもので、こうなると能力の実態にそぐわなくなる。
 しかし当然であるが、ボスの服は能力を使うたびにすり抜けて脱げてしまったりはしない。束縛されているときはワイヤーも衣類と同じでボスの一部分としてR'に持ち越され、ボスは束縛されたままとなる。ただしワイヤーもまたR'に移動しているので、これに干渉することはできるため、キングクリムゾンのパワーで引きちぎるなりほどくなりして対処できる。



 基本の使い方としては、敵の攻撃にあわせて発動し、無敵時間を利用して脅威から離脱し、敵の側面ないしは背後の位置取りを心がけ、能力の切れる際に合わせて死角から迎撃することとなる。



 以上が、「ぼくのかんがえたきんぐくりむぞんのしんじつ」である。*1
 要約すると未来予知+R'離脱(無敵時間)+その間の記憶消去の合わせ技。



 これでも説明の付かない部分はあるだろうが、自分はおおむね満足している。

 そんなことより、調子で第六部、第七部もアニメ化されるよう祈っておこう。

*1:たぶん、よそでとっくに語られてる内容なんだろうけど