麻雀を覚えてよかったこと
麻雀を覚えてよかったこと!?
んなもん、麻雀漫画を読めるようになったことの他にあるかよ!
これに勝るものはない!
というわけで、読んだことのある麻雀漫画を紹介します。
『賭博堕天録カイジ』

- 作者: 福本伸行
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/11/05
- メディア: コミック
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麻雀ルールをひととおり覚えてFLASHゲームで支障なく打てるようになった僕は、即座に某古本屋へ走り、カイジの十七歩編を購入した。
今やカイジのシリーズを知らない人は少数派だろう。
心理戦と創作ギャンブルをやらせたら漫画界でも五指に入る福本作品のひとつ。
限定じゃんけんにはじまり、鉄骨渡り、地下強制労働施設からの脱出を賭けたチンチロリン、パチンコ沼の攻略と読み進めていくあの興奮はいちいち語るまでもない。
しかし麻雀のルールを用いて行われる十七歩なるゲームが登場すると、麻雀を知らなかった僕はそっと本を閉じた。
麻雀なんて陰気で根暗でたばこ臭いシケた大人の遊び、一体何が面白いんだ、福本先生は他の漫画で麻雀を取り扱っているのだから、わざわざカイジでざわざわ麻雀をやるのは筋違いも甚だしい。
そう思っていた。
でも、ずっと読みたかった。
麻雀を覚えたら真っ先に読むと決めていた。
そしたらどうだ、すこぶる面白い!
麻雀はテンパイ*1するまでが大変なんです。
その過程をすっ飛ばしてテンパイしたところからゲームを開始する十七歩はかなりスリリングなゲームです。
麻雀を知らないすべての漫画読みに告ぐ。
お前達は損をしている!
今すぐに麻雀を覚えて麻雀漫画を読みあさるべきだ!
『咲-Saki- 』

- 作者: 小林立
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2006/12/25
- メディア: コミック
- 購入: 11人 クリック: 112回
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ご存じ、萌えと麻雀の融合形、その金字塔。
現在も連載が続いているばかりか様々なスピンオフが展開されている息の長いエンターテイメント。
阿知賀編をアニメで視聴したのが麻雀を覚えようとするきっかけとなった。
現実の麻雀とはかけはなれた闘牌が描かれる。
当然のようにカン材を揃え、息をするように嶺上開花をあがる主人公。
存在感の薄さゆえに卓についていることを忘れさせ、河を読ませずリーチにも気づかせないステルス女。
一巡先を予知するチート雀士。
そういった異能がすでに駆け引きの前提となっている麻雀漫画。
そんな環境にありながら、主人公勢に属しレギュラーを張っているキャラがSOA(そんな オカルト ありえません)なんていっちゃうところが笑える。
きっとこの漫画の影響で麻雀を始めた人がたくさんいる。
たまにを嶺上開花をあがって咲を思い出すのだろう。
そして麻雀を知れば知るほど、プラマイゼロが一番のオカルトであることに気づくのだ。
この漫画を読みはじめた頃は他の麻雀漫画を読んでいなかったので知らなかったが、麻雀漫画は基本的に非合法の世界を描くものらしく、朝日が昇るのと同じようにヤクザがでてくるし、ウン千万や億の金が動くし、臓器や命そのものを賭ける例も頻出らしい。
『咲-Saki- 』がそのあたりの血なまぐささをばっさり切り捨ててる異端児だと、最近やっと認知した。
『打姫オバカミーコ』

- 作者: 片山まさゆき
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2013/08/02
- メディア: Kindle版
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初心者同然の女流プロであるミーコが元王者である波溜師匠の指導を経て上達していくサクセスストーリー。
絵がコロコロコミックス並の水準だ、とは我が弟の評価。
しかし画力の低さなど漫画の本質と無縁であることは今更語るまでもない。はず。
むしろ巻を読み進めるごとに味が出てくるくらい。
全十五巻。
ミーコは初登場時、初心者以下の実力しかありません。(ビジュアルがよければプロになれるんです。麻雀の力量とか関係ないんです。だからミーコは弱小プロ)
波溜師匠が麻雀戦術における基礎を一回ごとに指導していくのですが、微妙に勘違いして解釈するものの、ビギナーズラックで上手くいくというのがお約束のパターン。
両面で待て → それは両面じゃなくてノベタンだ!
染められそうならいっきに染めろ → ふつうにマンガンあるなら染めなくてもいいんだよ!
初心者あるあるでにやにやさせられる。やきもきする波溜の心中を思えばいっそうにやにやできちゃう。
波溜師匠の指導は現実の麻雀にも通用するので、麻雀初心者・中級者の方にとって、この漫画は有益な入門書かつ実践書たり得るのです。
麻雀で強くなりたいが難しい本を読むのはためらわれるという方は是非、本作を読んで、波溜を師匠と仰ぎましょう。
七巻にもさしかかるとミーコもかなり強くなっていて女流王座をかけた戦いにも参戦し、1〜3巻を読んでいた頃は想像もしなかったようなアツい闘牌シーンが増えてきます。
十二巻にもさしかかると単純な強さ(実戦的な強さ)よりもプロとしていかに美しく打つかといった内容にシフトしていきます。
ガッチガチの実践派にとっては、いやいくらなんでもそのうち方はおかしい、という闘牌も目立ちます。
しかしここでの波溜師匠の名言は外しがたい。
「何が美しいかは人それぞれだ。だから常に美意識を持ち自分に問い続けろ」
麻雀で人生をたとえるレトリックがちょこちょこ出てくるところも好き。
『ムダヅモ無き改革』

- 作者: 大和田秀樹
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2012/11/26
- メディア: Kindle版
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各国首相が生まれながらの豪運をぶつけあう麻雀外交を描いた荒唐無稽な漫画。
これほどぶっ飛んだ麻雀漫画を読んだ後はどんなハチャメチャ麻雀漫画も平凡に見えてくる危険ドラッグ。
配牌で国士無双十三面テンパイするような主人公がいて漫画が成立することが異常事態。
全十六巻。
ヒトラーと戦うまでの1〜6巻の完成度は必見。
ローマ法王がいい味を出しすぎている。
初登場・初闘牌で聖書を麻雀にたとえるシーンは神がかり的だし、ヒトラーとの対局もベストバウトといわざるを得ない。
配牌前にロン和了するライヒスブリッツクリークと、一度の和了に複数の和了を重ね合わせるハイゼンベルクストライクをいかにして攻略するか、そのせめぎ合いに魅了された。
だって、配牌の時点で「手牌すべてアタリ牌」だよ? 唯一の正答が「国士テンパイの手を九種九牌で流局させる」だよ? これなにゲーだよ!?
『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』

- 作者: 福本伸行
- 出版社/メーカー: フクモトプロ/highstone, Inc.
- 発売日: 2013/07/18
- メディア: Kindle版
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ネット巡回していれば目にとまらないはずがない作品。
時間感覚が極限にまで引き延ばされたような鷲巣麻雀とやらが連載されているが遅々として進んでいないらしい。
なんでも鷲巣とかいうおじさんが地獄へ行ってルンバにおいかけられるらしい。
配牌で一年かかったと聞いた。
ネタとして面白いのかもしれないが、きっと駄作なのだろう。
しかし一応目を通しておくか。
と、読んでみたら、驚きの面白さ。
話のテンポがめちゃくちゃいい。
読んでいて気持ちよくなれるところは他の福本作品と同じだ。
あり得ないことが起きてばかりなのに妙に納得させられてしまう。
アカギならあるいは……と思わせる鉄の魅力。
鷲巣麻雀編だけが引き延ばしの悪影響でおかしくなっているのね。知らなかった。
あと、アカギがスピンオフ作品であることも最近まで知らなかった。
ちゃんと読んだ麻雀漫画はざっとこんなところ。
天牌もしょっちゅう立ち読みしている。
凍牌も最近ちらっと読んで面白そうだと思った。
アカギのスピン元も読んでみたい。
むこうぶちってなんなの? よく聞くけど、面白い? ご無礼のネタ元なの?
ここからは読んだことのある麻雀本(麻雀指南、麻雀戦術を取り扱った書)の紹介です。
『科学する麻雀』

- 作者: とつげき東北
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/12/18
- メディア: 新書
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現代麻雀の嚆矢。
麻雀における正着とは何か?
それについて誰もはっきりとしたことは言えなかったが、ネット麻雀の時代が明けて、はじめて麻雀を統計学的に検証できるようになり、正着が明らかになっていった。
昭和の時代にはびこった迷信は科学が一掃した。
この本が出る以前は、麻雀を数学的に検証するにしても、有効牌の枚数を数えて、アガリに向かううえでどの打牌が最も効率的かを説くだけ。いわば静的であった。
この本が出てからは、巡目ごとのアガリ率と放銃率が絡んでくることで回答が動的となった。
そのパラダイムシフトを引き起こしたのが本書である。
本書は偉大である。
だがお勧めしにくい一冊でもある。
内容がほとんど論文の体を成している。
統計計算の手法など読んだところでちんぷんかんぷんだろう。
統計学の心得があり、ネット麻雀を嗜み、自分でも統計学的に検証してみたいと考える人にとっては必読書か。
『おしえて!科学する麻雀』

- 作者: とつげき東北,福地誠
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2009/02/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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『科学する麻雀』を分かりやすく解説した内容になっている。
麻雀の定石を知らない人や、麻雀が強くなりたい人が真っ先に取るべき書である。
テンパイした巡目と和了率・放銃率の関係を表すグラフが多数並ぶ。
本書が教える内容はつまるところ、
・テンパイ速度がなによりも大切。最短最速でテンパイを目指し、テンパイしたなら即リーチすべし。
・他家からリーチがかかったら即時撤退。外連味なくベタオリすべし。ベタオリとはケイテンすら見ず完全にオリることである。
この二点。
これができなければ長期的に勝ち続けることは難しい。
『科学する麻雀』では赤無しルールでの統計をとっているため、ここで得られた正着が赤有りルールでも通じるかどうかを懐疑的に見ている人たちがいた。
そこで『おしえて!科学する麻雀』では赤有りルールでも統計を取り、即リーチやベタオリが強いとする戦術が正しかったことを証明している。
古き良き昭和麻雀から、ガチガチの実践派である現代麻雀に移行した昨今、麻雀で強くなるためにはお勉強しなければならなくなった。
繰り返しになるが、本書は麻雀で強くなりたい方が真っ先に読むべき本である。
『勝つための現代麻雀技術論』

- 作者: ネマタ,福地誠
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2014/04/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ネマタ氏が綴った現代麻雀技術論のサイトを書籍化したもの。
ありとあらゆる技術が網羅されている。
だが初心者には内容がむつかしすぎて理解できない。初心者がこれを活用できるようになるためには下地として1000試合は打っておくこと。
そうかといって中級者にお勧めできるかというと……
この本、すっごく読みにくい構成になっているので、どうしても推薦を躊躇ってしまう。
しかし本書に書かれている内容は、もはやネット麻雀強者の前提知識でしかないような気もする。
読んでいなければお話にならない。
何度か流し読みしているうちに自分に合った読み方が見えてくるはずなので、それまで頑張って食らいつくこと。
慣れてくるとすごく役立つ。それまでなんとなくで打っていた局面の正解を知ることができる。
データ量も豊富。データは嘘をつかない。1枚切れの無スジペンチャンリーチのアガリ率が32%もあるなんて知っていたら怖がらずにリーチを打てますよね。愚形イッツーをなんとなくでダマにしていたそこのあなた、即リーチですよ。これがスジ待ちになったら43.5%で、どんだけリーチ有利なんだって話です。
でも本当に読みづらい一冊なんだな、これが!
テンパイ時の押し引きの項目とか複雑すぎ。常軌を逸している。
読み込んで、読み込んで、理解できるようになって改めて自分で整理したとき、「二行ですんだじゃねーかっ!」て盛大にツッコミましたもん。いっそ「良形テンパイで2ハンあったら押していいよ (´σ `) ホジホジ」って書き直せそう。
(これはもちろん平場での話だし、相手の打点がハネマンや倍満あると判明していたら違ってくる。収支期待だけをみているため、点数状況によっては、この人にだけは振り込まないほうがいいからオリ有利なんてケースもある。そもそもルールによっては平場の線引きが変わってくる。平場と平場でない状況以外に準平場なんて言葉まで出てくる時代になってしまった。そういった前提をふまえて読みたい。)
『天鳳 公式完全攻略読本』

- 作者: ネマタ,福地誠
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2015/07/11
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ネット麻雀サイトで、もっとも強い雀士と打ちたいならここしかない。
それが『天鳳』というサイト。強さが段位で評価され、モチベーションにつながる。
段位ごとに上界が設けられているため、実力が伴わなければ上の段位へあがることも、現在の段位を維持することもできない仕組みになっている。
本書は天鳳の攻略本という触れ込みで、前半がネマタ氏の基本講座、後半が天鳳最強雀士たちのアドバイスという構成だ。
で、前半部の基本講座だが、綺麗にまとまっていてわかりやすい。
『勝つための現代麻雀技術論』は書いていることが細かすぎて、「麻雀の勝ち負けはそんな細かいところでは決まらんよ」とツッコまずにいられなかったが、こちらは平易でお勧め。本腰据えてお勉強するのはちょっとなぁ……という方は、『現代麻雀技術論』よりも本書を手に取ってみて。天鳳プレイヤーでなくても構わないから。
天鳳プレイヤーにとっては後半の歴代天鳳位による助言がメインか。
いってることは簡単で当たり前のことばかりなのに説得力が違う。
てか独歩さんの紹介文すごいな、「麻雀を覚えてから十数年間一度もオリたことがなかった」って、完全に漫画の主人公クラスの人物だ。それが「天鳳で天鳳卓から陥落したとき、屈辱のオリを初体験」って、天鳳の噛ませ犬扱いみたいになってるところがにくいw そこから天鳳位に辿り着くのもまた漫画の主人公みたい。
全体的に読み物として面白い。
攻略本としての効力については不明。
マンガンを崩してでもベタオリしなければならない局面が多いと知らない人にとっては有効かも。
完全順位制を採用している天鳳では南3局とオーラスで順位を意識できていないと死ぬ。
着順をコントロールするには自分が和了ることよりも、失点を防ぐこと(ベタオリ)と他家を和了らせること(アシスト)の方が重要で、残り局数が少なくなるにつれて高打点をとる意味が薄れて行く。
この本を読んで、天鳳の制作者である つのだ氏 が四段であることを知った。
あと、近代麻雀漫画のブログをやっている いのけんさん がタッチ八段だということも知った。
読んだことのある麻雀本は以上でお終い。
初代天鳳位のASAPINさんの本を買ってみようかなと思ったものの、アマゾンのレビューを見ると、「思ったより抽象的な内容だった」みたいなコメントがあって、ためらう。
堀内プロの『神速の麻雀』も読んでみたかったが、レビューを見る限り僕が読んできた本と内容がかぶってそうなのでスルー。
渋川さんの『麻雀 魔神の読み』は読んでおいた方がよさそう。検討中。
『もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編』はさっきポチってきた。
こういう麻雀本って基本的に攻撃面の内容は充実していても、防御面の内容は薄い。
防御はそれだけ体系化しにくいってことなのか?(個別の局面を取り扱うことになりがち)
ふつうに需要がないだけなのか?(雀荘ルールでは押し有利だし?)
あと、本だけ読んでいても強くなれない。
知識を持っていることと知識を実践できることは違う。
先制リーチを受け、オリ有利と知っていながらアガりたくて押し、当然のように放銃して負けるようでは知識を腐らせているも同然。
知識を得たら意識を変えていかないといけないし*2、
そのためには知識の通りに打つと本当に勝てるんだと体感するしかない。
ニコニコ動画で実況配信してるのを見るのがお手頃か。
最後に。
麻雀なんて運ゲーのクソゲーなんで、やらない方がいいですよ、時間泥棒でしかありません。
そんなことより麻雀覚えて麻雀漫画読もうぜ!
以上です。