アンパンマンマーチにあるよね。
「愛と勇気だけが友達さ」
小学生たちが笑うよね。
愛と勇気しか友達いないのかよー。
ってね。
でも大人になると笑えないよね。
愛と勇気だけが。
だけが友達。
すごいことだ。
ふつうは怠惰とお友達になってるはずだ。
しかも怠惰ってやつは顔が広い。
優柔不断とか不摂生とか……いやもうあんまり思いつかないんだけど悪い連中とよくつるんでることぐらいみんな知ってるはず。
僕は今のところ不摂生とは全然お近づきになっていないけど、マブダチになっちゃった人もいる。昔はあんなやつと誰がつきあうかよバーカって笑っていたのに、今では……。人は変わるものだ。
怠惰といえば七つの大罪とか七つの原罪とかいわれているものの一つだ。
他には傲慢、物欲、嫉妬、憤怒、貪食、色欲がある。(wikipedhia調べ)
傲慢や憤怒とは顔見知り程度かな。
あんまり親密にならないように避けて通ってるけど、どうしても顔を合わせるときはある。なるべく目を合わさないように努めるけど。つきあいが悪いとか言われたいよね。むしろ褒め言葉だ。
憂鬱なんてやつとも長いつきあいになってしまった。
やつとは顔見知り程度がいい。浅いつきあいならそれなりにいいやつなんだ。陶酔感があるからね、むしろ快楽なんだ。
でもどっぷりつきあっちゃうとね。
もうね。
卑猥、短気、愚昧、軽薄、非礼、横柄、厚顔、姑息、軽率、不潔、放蕩、蛮勇、妄執……
子供の頃はそんな連中とつきあうことはなかった。
よしんばつきあっているように見えて、実はそいつの真の姿は無垢だった。
無垢は形を変える。
それがどうだい、今では……。
それなのにアンパンマンはどうだい。
愛と勇気だけ。
他に余計なやつとはつるまないんだ。
ああ、それにつけても、愛か……
愛とは知り合いだ。
もしかしたら友達かもしれない。
聞いたら友達だと答えてくれるだろう。
でもそれは愛の懐が深いからだ。
その懐の深さに甘えて、僕は友達らしい振る舞いを徹底できていないのではないか。
愛がもし真に友であってくれたなら、愛は時に優しさに、時に厳しさに姿を変えてくれただろうに。
ああやめよう、考えるだけつらい。
それよりも勇気だ。
勇気。
そんなやつもいた。
かつては友達だった。
だがいつしか疎遠になっていった。
気がつけば互いに声をかけづらい関係になっていた。
今ではどうだ。
友達の友達か。
いや知り合いのそのまた知り合いの顔見知りという程度か。
顔を合わせても僕を覚えていないかも知れない。
情けない話だ。
愛と勇気……
思えば仮面ライダーRXのOPもそんなフレーズがあった。
太陽よ愛に勇気を与えてくれ、だったか。
この場合愛とは仮面ライダーのことだが、愛だけでは駄目ということか。
やはり勇気がなければ話にならないらしい。
愛と勇気だけが友達。
なんと素晴らしいことだろう。
涙が出てきそうだ。
また勇気と友達になりたいものだ。
そのためには。
千里の道も一歩から。
まず怠惰と縁を切ろう。
とりあえず、そこからだ。
とりあえず。
とりあえず今日は疲れたからもう寝よう。
明日から。明日から縁を切ろう。うん、そうしよう。