子ブタ三兄弟

 
 偉大なる長兄から次男坊へ
 この度は独立して家を建てねばならぬことになったが、
 諸君の偉大なる兄は建築を億劫に思っている。
 ゆえに藁で家を建てようと思う。
 雨風を防げればそれでよいのだから。
 しかし狼に襲撃される恐れは拭えぬ。
 そこで貴殿の家には木材の使用を命ずる。
 木材ほど堅牢であれば かの卑しい獣も歯が立つまい。
 
 偉大なる長兄から三男坊へ
 偉大なる次兄は木材にて家を建てることにした。
 これは狼の襲撃を予見しての計らいである。
 しかし木材でもなお一抹の不安が残る。
 ゆえに貴殿の建てる家はレンガを建材とするべし。
 無論、レンガの家を建てるには時間がかかろう。
 その間、狼に対しては無防備であるが、
 吾輩が藁の家を仮設して囮となり 時間を設ける次第である。
 吾輩も命懸けであるゆえ、心してかかるように。
 
 追伸――
 兄は偉大なのである。えっへん。