美しき世界

 
 ばあちゃんが白内障の手術を受けている。
 なんでも片目ずつ手術するそうで、右目か左目か知らないけど どちらかの目は去年末に手術が済んでいる。
 正月前におせちを届けにばあちゃんの家へ訪れたとき、ばあちゃんは空が青いことに驚いたと言っていた。
 なんでも、ずっと灰色に見えていて、それは大気汚染のせいだと思っていたそうだ。
 遠くの山も昔は紅葉が綺麗だったのに、近年は樹木が枯れてしまって汚らしいと思っていたそうだ。
 ところが実際のところは今も昔と変わらず美しいままだったらしい。
 

 
 空も山も美しくあらねばならない。美しいのはいいことだ。