ミシシッピーの夢


 

雲が虹色に染まる時刻は、地平線も、水面も、虹色に染まる。波状に広がる雲の美しさを日常の鈍い感覚で無視する二匹の狼は、浅瀬の先に原住民の筏を見る。縄で縛って渡した八キロもの木の板のその上を軽快に歩く夢を見る。冬になれば川は氷り、筏の渡されたところだけが馬の重量をも支える厚い氷のルートとなる。細切れになって広がる低い雲の裏面を濃い紫の陰に染め、高い雲の裏面をプリズムに仕立てる光の刃が限られた層を横切るように、二匹の夢は薄い氷の層を描く。