淡い緑に包まれた散歩道


テキスト

 朝の湿り気と森の保湿力が土に落ち着きある深い味わいと冷たくも柔らかなあの茶色を持たせていたし、顔を見上げることなしには実直で逞しい幹しか見えることのない立派な樹木も長い時と強固さを感じさせる岩肌のごとき質感を持っていたが、象のごとき巨大な生き物の足を思わせる樹木の踏みしめる大地に恭しく頭を垂れている低い葉や樹木の外皮および石畳の表面をうっすら覆っている苔の緑が幽(かそけ)し霧の乳白色と相まって生じたこの世のものならざる幻想的ヴェールに包まれその輪郭と色彩をむしろ淡い緑の神秘に染めていた。石畳は私一人が歩くには不足を知らない幅を持ち真っ直ぐ正面へ続いていたがその先は神秘に呑まれて定かではなかった。

呟き

 今回のは成功かと、自分では思っている。画像も一人称視点にはもってこいで焦点が定まりやすかった。
 言葉が十分なイメージを内包するように比喩表現をふんだんに取り入れてみると実に書きやすかった(ただし結構時間がかかっている)。小説的文章は情緒が多分に内包されていればいるほど如実に像を結びやすいもので、今回の画像はそもそもが霧という情緒を帯びていたので相手にしやすかったのだと思う。これが色彩豊かな真夏の風景だったなら、こちらは頭を抱えてるだろう。というか頭を抱えたし、その画像の選択を避けた。
 あと、句読点を極力用いないように注意した。そうすると簡単に雰囲気が出てくるし、文章力も自然と養われる。
 この調子でこの手のことを毎日真剣にやれたならいいのだが……。(時間拘束のきつい今の仕事を辞める方針でこれからの人生設計を考え直しているところ)