漫画『風の谷のナウシカ』を読破した。
一巡目では、まだ理解が及ばないところがあるのだけれど。
一週間前にアマゾンで購入した全七巻。
昨日、今日で読み倒した。
今日は起きたときから具合の悪い一日になると思った。
頭が始終ぼんやりとしていた。能率的に休日を過ごすことはできないと確信し、漫画を読むだけの怠惰な一日にすることに決めた。正解だった。
ナウシカといえばジブリアニメなのだけど、縁がなくて、完全に見たことは一度もない。おかげで漫画版とアニメ版の違いが分からない。
意外だったのは、『ナウシカ』って作品は、結構オタク向けだったのだなということ。ジブリ作品は本来オタク向けなのだろうけど。読んでみて、ああ、やっぱりオタク向けなんだと再確認した。
旧時代の文明 (独特のメカ)
超常者、念話、念動 (サイキック)
蟲 (異形の生物)
SFやファンタジーにありがちなネタをいくつも詰め込んでいて、詰め込みすぎの情報量なのに世界観はまとまっていて。
激しい怒りと深い悲しみが同居する少女、ナウシカ。美しい。そのイメージは、現実の女性には考えられないほど神格化され、純粋さを思わせる。それなのに作品は彼女の性質をそのままに、視点を変えて、彼女(を含むすべての人間)が汚れていると唱える。
私たちは創られた生命であっても、生き方は私たちで決める――というような主張が深い。だって、《生きる》ということにそれほど肯定的になれない。特にあのような荒廃した世界にいては虚無を救済として受け入れたくなるのが普通だろうに。ニーチェを狂信する思春期の少年はいても、ナウシカのような考え方で生きることを肯定する人はいまい(それだけ日本が平和ということで、よいのだが)。
で、ナウシカは最後に神殺し的な所行を達成するわけだが、その最後の敵の返り血が青いというのが、もうなんとも。彼女が愛したオームよりも濃い青……。どう受け止めればいいだろう。
読んでいる途中で、「いくらマスクしてても、そんなに強い毒なら皮膚呼吸でも結構やばいんじゃないか、もっと全身を覆うべきじゃないか」と思ったが、ちゃんと理由があった。
腐海の秘密は深いのう……。